こころの安らぎ文庫

元精神科ナースらが立ち上げる電子書籍のレーベル。売上の一部を犬猫愛護団体(保護実績250頭/年:三重)に寄付しています

産まれてきてごめんなさい

いつもご覧いただきありがとうございます。

 

人は望まれて産まれてくるのでしょうか?

 

世の中の人がみんな望まれて

産まれてきているとしたら

それはとてもいいことだと思います。

産まれてきた子も幸せになれそうに思います。

 

最近では不妊症が多いです。

不妊症の治療の結果

産まれてきた子というのは

明らかに望まれていますよね。

 

一方では、望まれずに産まれてくる人も

いるのではないか、と思うんです。

赤ちゃんポストや養子縁組の話を

しているわけではないんです。

 

私が望まれずに産まれてきた人間だからです。

私の生まれる前、親は何度か中絶していて

もう中絶できないとなったときに

出来てしまったのが私です。

 

父は大学を中退して無理やり就職しました。

母は大手企業の仕事をやめ育児ノイローゼになりました。

手をあげてはいけない、怒ってはいけない

そう言い聞かせて、私を育てました。

 

私は両親の幸せを奪ったのです。

もし私が生まれてこなければ

父は楽しい大学生活を中断しなくても済み、

卒業していい会社に入れたでしょう。

母は仕事を続けキャリアップできたでしょう。

そうして二人が安定したときに

立派な子供に恵まれればよかったのです。

 

私は罪を背負って生きなければなりませんでした。

母は怒りに任せて私に手をあげるようになりました。

高校を卒業するまで毎日殴られていました。

ある時は刃物を投げつけられ、太ももに刺さりました。

ある時は金属のボウルで殴られ、ボウルは凹みました。

暴力だけでは収まらない母の怒りは

暴言を追加するようになりました。

「首をつって死ね」

「ずうずうしく生きやがて、自殺しろ」

「お前なんか生まなければよかった」

 

父は私に無関心でした。

殴られようが、暴言を吐かれようが

どうでもよかったのでしょう。

小学生のころ、眠れず耳を澄ましていると

母と話す父の声が聞こえてきました

「あいつにはあの世に行ってもらうか」

はっきりと聞こえました。

でも驚きはしませんでした。

 

なぜなら私は死ななければならない

ということを分かっていたからです。

母の「自殺しろ」というのだから。

 

リストカットを始めたのは小学5年生の時です。

死ぬことばかり考えて生きてきました。

成人した私は、うつ病強迫性障害摂食障害

を発症し地獄のような毎日を送っていました。

 

それでも産まれてきてよかったことが

一つあります。

それは、人の苦しみを知ることが

出来るようになったことです。

人を苦しみから解放したい

そういう気持ちで看護師になりました。

 

外科や内科で苦しんでいる患者さんを

苦しみから解放する

そんな瞬間が幸せでした。

一番よかったのは精神科看護です。

患者さんの心の傷が目に見えるかのように

はっきりと認識できたのです。

 

不謹慎かもしれませんが

精神科で働くことを毎日楽しみにしていました。

 

自殺未遂で入ってくる患者さん

うつ病で苦しみ動けない患者さん

発達障害で怒りをコントロールできない患者さん

不安症で何をするにも不都合な患者さん

統合失調症で妄想の中で苦しむ患者さん

 

みんな僕が治してあげる。

そんな風に思っていました。

本当に多くの患者さんの心のそばに

いることが出来たと思っています。

 

しかし、職場の看護師らは

私を異端児として

パワハラやいじめに転じて

攻撃してくるようになりました。

 

暗い所や密室で怒鳴られたり

誰からも無視されたり

LINEでつるんで私の悪口を

言ったりしていることを

知りました。

 

そのおかげで私の病気も悪化し

患者さんが私を心配してくれるようになりました。

 

退職を言い渡された時、人を癒したいという

私の気持ちはどこに向ければいいのか

分からなくなり、長期療養生活に入りました。

 

やはり私は「あの時」に自殺しなければならなかった

のではなかったのかと思います。

親のいう事を聞いていれば絶対大丈夫です。

母が「自殺しろ」といったときに

ちゃんと死んでいれば、病気やいじめで

苦しむこともなかったのです。

 

ただ、私は精神科の患者さんが

私の病気を見破り、多くの人が

癒してくれたのは私の宝のような思い出です。

 

毒親、そういういい方もあるけど

私の場合「毒子」だったのかもしれません。

 

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