こころの安らぎ文庫

元精神科ナースらが立ち上げる電子書籍のレーベル。恵まれない犬猫の為に、売上の全額を犬猫愛護団体(保護実績250頭/年:三重)に寄付しています。

結局のところ、うつ病って何なの?

今や患者数128万人(H29:厚労省)にのぼり、ひと昔前とは違ってポピュラーな存在となったうつ病。名前こそ有名になりましたが、うつ病がいかなる病気であるかは、まだ世間に浸透していないように思います。

 

大いなる間違いの一つが、「うつ病はこころの風邪」「こころも風邪をひく」というキャッチコピーの様なうたい文句だと思います。精神科で長年看護師をしてきた経験と、実際にうつ病になった経験から言わせてもらうと、うつ病はこころの風邪などと言う軽いものではありません。こころの骨折、こころの重症肺炎、と言ってもいいくらいに重い病気です。

 

なぜそんなに重い病気なのか、理由はうつ病の本質にあります。多くの人が持つうつ病に対する認知は、気持ちが落ち込んで憂鬱になる病気、と言った感じでしょう。確かにそれは間違いではありません、しかしこの認識は重要な側面が欠けているのです。

 

それは何かと言うと、うつ病は動けなくなる病気、というものです。うつ病の本質は、気分の落ち込みいうより、それによって社会生活や日常生活ができなくなってゆくところにあるにあるのですね。

 

例えば、会社員がうつ病にかかってどんどん悪化してゆくとどうなるかを考えてみます。。初期は気持ちの落ち込みでやる気がどうしても出ないところから始まるでしょう。次に仕事上のミスが増えて問題になります。さらに悪化すると出社できなくなります。病気休暇を取ることになるわけです。自宅療養でも悪化していったなら、身の回りの事がひとつずつ出来なくなってゆきます。最初は起床することが困難になり、そのうち寝ることが困難となります。そうしているうちに、整容する事も出来ず、歯磨きや入浴も出来なくなってしまいます。そして、最終的には強烈な気分の落ち込みにより、一日中布団にもぐって泣いたり、自殺を考えたりするようになります。ここでもし、体にエネルギーが残っていると、うつ病の最悪のシナリオに向かいます。つまりそのエネルギーを使って自殺するのです。つまり、最終的には生きることが困難となります。

 

これがうつ病の本質であり、私がこの病気を、こころの骨折、こころの重症肺炎、と表現するゆえんです。しかし、うつ病にかかった人はすべてこのようになるのではなく、自然治癒したり、周囲のサポートや医療的な介入をうけたりして、復活することが可能です。いまでは薬も非常にたくさんあり、副作用が少なく、効き目が強いものも出てきています。

 

最後に、うつ病になりかけたら、あるいは、うつ病にならない為にはどうしたらよいか、を述べて終わりにしようと思います。

 

うつ病の最大にして最高の治療は、寝ることです。5~6時間の睡眠ではありません。1日10時間くらいねれば、かなりの改善が見込めます。10時間寝るのはなかなか難しいですが、例えば21時に就寝して翌朝7時に起床すれば10時間確保できます。うつが酷くなると、不眠を伴ってきますので、そうなる前に睡眠をとりまくる事が大事です。10時間も寝られないと言う方で、もし精神科にかかっているなら、就寝前に眠気の強い薬をもらうと良いでしょう。通常の睡眠薬に加え、抗精神病薬を使用すると10時間以上の睡眠も可能になります。

 

それでは今日はこの辺で^‗^/

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