こころの安らぎ文庫(代表:琥珀涼)

元精神科ナースらが運営する電子書籍のレーベルのブログ

寄付をしているだけで保護猫活動家と言えるのか?

愛猫協会にゃん・にゃ・にゃんは、インターネットなどを使って様々な保護猫活動をしています。その中で最も重要かつ持続すべきものは「支援金の寄付」です。

当会では電子書籍を出版し、売上を保護猫活動を行っている団体に寄付しています。この団体は、捨てられた犬や飼い主のいない野猫だけを無報酬で治療する一人の獣医師が中心となり、年間200頭程度の犬猫を保護しています。

 

「にゃん・にゃ・にゃん」の代表である私は、この団体から素敵な猫ちゃんを譲渡して頂きました。それをきっかけに、この団体がほぼ無報酬で犬猫を助けているため、経済体力が厳しいことも知りました。

 

それが「支援金の寄付」という活動に繋がっているのです。売上が5,000円に達するごとに5,000+端数円を寄付しています。2023年6月ごろより寄付を始めて、今までで概ね6回(計30,000円強)できています。

 

元々保護猫活動をしたいという気持ちが強かったので、本来ならばミルクボランティアや預かりボランティアなどのTNTA活動を行ってこそ、保護猫活動家と名乗れるのでしょうが、私は賃貸物件で活動しているのででそれをすることが出来ません。そのため、お金で支援するという形をとらざるを得ないのです。

 

保護猫活動はお金がなければ不可能です。多くの保護猫家は自腹を切って可哀そうな猫を保護しています。そこにお金を寄付することは、間違ってはいないとは思うのですが。

私たちは保護猫活動家を名乗っていいのでしょうか。寄付をしているだけで本当に保護猫活動といえるのでしょうか。疑問を感じながら寄付を続けています。

寄付をしているだけで保護猫活動家と言えるのか?

愛猫協会にゃん・にゃ・にゃんは、インターネットなどを使って様々な保護猫活動をしています。その中で最も重要かつ持続すべきものは「支援金の寄付」です。

当会では電子書籍を出版し、売上を保護猫活動を行っている団体に寄付しています。この団体は、捨てられた犬や飼い主のいない野猫だけを無報酬で治療する一人の獣医師が中心となり、年間200頭程度の犬猫を保護しています。

 

「にゃん・にゃ・にゃん」の代表である私は、この団体から素敵な猫ちゃんを譲渡して頂きました。それをきっかけに、この団体がほぼ無報酬で犬猫を助けているため、経済体力が厳しいことも知りました。

 

それが「支援金の寄付」という活動に繋がっているのです。売上が5,000円に達するごとに5,000+端数円を寄付しています。2023年6月ごろより寄付を始めて、今までで概ね6回(計30,000円強)できています。

 

元々保護猫活動をしたいという気持ちが強かったので、本来ならばミルクボランティアや預かりボランティアなどのTNTA活動を行ってこそ、保護猫活動家と名乗れるのでしょうが、私は賃貸物件で活動しているのででそれをすることが出来ません。そのため、お金で支援するという形をとらざるを得ないのです。

 

保護猫活動はお金がなければ不可能です。多くの保護猫家は自腹を切って可哀そうな猫を保護しています。そこにお金を寄付することは、間違ってはいないとは思うのですが。

私たちは保護猫活動家を名乗っていいのでしょうか。寄付をしているだけで本当に保護猫活動といえるのでしょうか。疑問を感じながら寄付を続けています。

強迫性障害は治るのか?75分メソッドの可能性

強迫性障害(OCD)は、うつ病統合失調症ほど研究が進んでいるわけではないようです。それが個人的には謎なのです。苦しんでいる人が結構いらっしゃるんですよね。私の考案した「75分メソッド」が強迫性障害から抜け出せない方から、一定の評価をうけているのもそのせいでしょう。

 

しかも、強迫性障害神経症に分類されるので、精神障碍者保健福祉手帳や障害年金うつ病統合失調症に比べ、獲得しにくいようです。もちろん、症状が重ければ重症度に合わせて認定はされることがあります。しかし、強迫性障害は日常生活にかなり影響を及ぼす病であるにもかかわらず、障害福祉のサービスを受けにくいのであれば、治療の研究が進まなければなりません。

 

強迫性障害の研究が進んでいないことの証拠として、適用処方が抗うつ剤パロキセチンフルボキサミンしかないことが挙げられます。これはSSRIというタイプの抗うつ剤です。あとは3環系と呼ばれる抗うつ剤クロミプラミンくらいですかね。

 

それ以外には、補助的に抗不安剤の一部や、抗精神病薬の一部が使用できることにはなっています。しかし、諸外国に比べるとうつ病統合失調症に比べ治療の選択肢が狭いように思います。

 

例えばアメリカでは、セルトラリンエスシタロプラムも使用可能なようで、日本で発売されていないフルオキセチやシタロプラムも適応薬品の様です。アメリカは日本より4種類も治療薬があるわけです。

 

さらに最近の論文より、強迫性障害の適応薬品として、ベンラファキシンやミルタザピンが効果的である可能性が示唆されています。これらも認められると、強迫性障害の治療幅は大きくなります。

 

そういう事情があるからなのか、実際には日本でも強迫性障害の方がセルトラリンを使用するなどの例はあります。その為、単純に抗うつ剤パロキセチンフルボキサミンの2択というわけではないようです。

 

日本で処方可能な例として私が注目しているのは、適用である抗うつ剤抗精神病薬を組み合わせる処方です。アリピプラゾールやリスペリドンを抗うつ剤SSRI)と併せる方法です。私も強迫性障害を患っていましたが、少量のリスペリドンと抗うつ剤の併用は非常に効果的でした。なんといっても抗うつ剤と違って即効性があるのです。

 

こういったことから、強迫性障害は「治る」とまではいかなくとも、生活に支障が出ない程度になる「寛解」は多くのOCD患者さんに言えることかな、と思います。ご自身にあった薬を探すのは容易ではありませんが、うまく自分にはまる薬があれば、回復が見込めます。

 

一方、薬物療法以外にも、暴露療法や、認知行動療法が有効とされています。暴露療法は、強迫行動を強制的にしないようにすることで、強迫観念に打ち勝ってゆくものです。これは原理的には理にかなった治療法で、理屈から言えば治る可能性の高い治療法ですが、なかなか苦痛を伴うことがあるようです。

 

認知行動療法は考え方を見直すことで強迫性障害を治してゆくものです。強迫観念はもともと理論的に破綻している思考ですので、正しい思考をすることによって強迫観念を消し去るという事は理にかなっていると思います。ただし、認知行動療法の考え方を体得するには、独学より認知行動療法に詳しいトレーナーなどの指導を受ける方が早いです。効果は折り紙付きでしょうが、誰でも気軽に行えるものではないようです。

 

私は今新しい著書を執筆中です。それはOCDに対する治療「薬物療法」「暴露療法」「認知行動療法」の3つを、いいとこどりして私が考案した「75分メソッド」というもののやり方を読むだけで実施できるようにするものです。

 

この「75分メソッド」はなかなか効果的です。拙著『75分で強迫性障害が治った奇跡』という本の中で詳しく説明しています。それによって私は30年間苦しんできた強迫性障害に別れを告げることが出来るようになりました。また、精神科看護師として働いているときに「75分メソッド」を患者さんに教え、実際に治ってしまった例もあります。

 

詳しい事は『75分で強迫性障害が治った奇跡』に書かれており、読めば「75分メソッド」で強迫性障害が治った例や、「75分メソッド」のやり方が分かるようになっています。使用した実例も載っています。

 

しかし、「『75分メソッド』の使い方の実例をもっと挙げてほしい」というニーズがある事が分かり、新しく著書を執筆しているところです。

 

「読むだけで治る」を目指して執筆していますので、出版まで2~3か月かかりそうです。最近は一日の殆どを執筆活動にあてています。それでも、完成には数カ月かかりそうです。『75分で強迫性障害が治った奇跡』を読んで、75分メソッドにご興味をお持ちの方は、ご期待ください。なお『75分で強迫性障害が治った奇跡』でも「75分メソッド」は可能です。試し読みで全体の30%を無料で読めますのでご参考にされて下さい。

 

 

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大腸カメラ体験記

ご覧いただきありがとうございます。さて、私は代々の大腸ポリープ家系であります。私も若いころから、がん化する可能性のあるポリープがいくつか見つかっています。そのため、定期的に大腸カメラを受けています。

 

ところでこの大腸カメラの検査、大腸内視鏡、CFなどといくつか呼び名がありますが、検査予定の方の心配事は、検査の結果も当然そうですが、それに勝るとも劣らない心配なのは「検査が苦しくないか」ではないでしょうか。だってネットの体験記を見ると「苦しかった」「辛かった」などと書かれていますから。そりゃ、怖くなりますよ。

 

そこで大腸カメラを予定している方にむけて、「検査の苦しさ」の苦しさについて述べようと思います。

 

私の場合ですが、今回の大腸カメラの流れはこんな感じです。まず、検査の予定が決まると、予定日の2日前から消化の良い食べ物を食べるよう指示されます。野菜や豆やキノコ類など消化の悪いものは禁止になるんです。まずこれが面倒で苦痛です。

 

そして前日は検査食のみを食べます。3食分の検査食を事前に渡されるのです。それは消化が良く、大腸内に便として残りにくいように工夫されていて、カメラの視界を良くするためにこれだけを食べます。この検査食は3食分あるのですが、そのカロリーが驚くなかれ600Kcalしかないのです!大体成人男性なら1800kcalくらいは食べると思います。女性なら1600kcalくらいが一つの目安かな、と思います。で、検査食はその3分の1くらいのカロリーですから、検査前日は通常の1食分の食事量しか食べられないのです。1日1食と言えば私はGA〇CKTさんを思い浮かべるのですが、みなさまはどうでしょう。彼のファンなら1日G〇ACKTさん体験ができると思えば、むしろ検査食ライフは有意義なものになるかもしれません。しかし、この食事量で仕事をすると、「顔が濡れて力が出ないよ~」というアンパ〇ンマンの様に、パワーがでないんすよね。こんな感じで何とか仕事を終わらせ帰宅します。

 

帰ったら検査食の夕食分を食べ、21時ころから絶食です。恐ろしいことにこの検査、寝る前に多量の下剤を飲みます。夜中うん〇こを漏らす人もいるとかいないとか。私も妖怪夜間下痢下痢ジジイにならないか心配しながら寝ます。

 

いよいよ当日の朝になります。朝からも当然絶食で、8時ころから昼にかけて2リットルの下剤を飲みます。それを飲むと何度もトイレに行くことになります。10回くらいはトイレに行くと思います。腸内の汚れを取り除きながら下剤が便器に流れてゆくのを見届けます。最終的に下剤を飲んでも便は出ず、その下剤が少し色づいて出て来るだけです。そうなると大腸内がきれいになったということで、検査が可能になるわけです。問題なのはこの2リットルの下剤、いくつか種類はあるのですが、多くの人が不味いと感じるようです。おいしいのもあったりするのですが、不味いものも多く、これを2Lも飲むのが苦行と言う人が多いです。私が飲むのは非常に不味いやつです。しかし、前日に600kcalしかとっていないと、おなかが空いて、この2Lの下剤すら美味く感じてしまいますので、2L飲みほしたころにはおかわりが欲しいと思うほどでした。飲み終えたら病院へGO!

 

と、ここまで書いたように、検査までの道のりが長いわけです。だから大腸カメラを辛いと思う人が多いのですよね。特に私のように神経質と言うか、豆腐メンタルな人間にとってはカメラを受ける前から苦行なので、大腸カメラの予約を入れるころになると、激鬱になります。ただ、それは痛みや苦痛を伴う訳ではなく、単に検査を重く受け止める私のメンタルの問題であり、ダイエットのチャンスだ、とかプチ断食の体験だ、等と思える人にとっては何でもないことか、むしろ楽しいかもしれません。

 

で、実際のカメラを入れるときの苦痛についてなのですが、これは明確な答えがあります。苦痛は、医師の技術と、患者の大腸の形や癒着具合によります。言い換えると、うまい先生が行うと、早く終わって何も苦しいことはないです。また、開腹手術を受けた経験のない柔軟性のある大腸ですと、カメラも入れやすく苦痛はその分楽になります。

 

私はお腹の手術を受けた経験があるので、腸が一部癒着して、腸の一部が体内のどこかにくっついて動きにくくなっているところがあるのです。ですから、医師からしたらカメラを入れにくいわけです。その分苦しくなるはずです。

 

ところが、私の主治医はカメラの天才として有名なんです。というか、そういうカメラの上手い先生を自分で探して主治医になってもらったのです。天才主治医は開始から4分で大腸の奥までカメラを入れます。(実は検査中こっそり時間をはかっていました)。しかも何一つ苦痛はありません。腸というのは針を指したり、組織の一部をとってるなど限局的な刺激では痛みを感じませんが、腸全体がうごくような時には強く痛みを感じます。カメラで腸が大きく動くと、めちゃめちゃ下痢しそうなときの腹痛が襲ってきます。私の主治医は腸が動かないようにカメラを入れる謎技術を持っているのです。だから私の様に癒着してカメラを入れにくい難しい腸でも、痛みなくスッと入れることが出来て、サッと検査を終えるのです。

 

したがって、検査の苦しみ自体は、ほぼなしと言ったところです。しかし、大腸カメラは一歩間違えると腸に穴が開くことがあり、うまく行わないとかなり苦痛を感じることがあります。私は医療者でしたので、そういう事例を何件か聞いたことがあります。そういうわけで、これを読まれている方は、お近くに「内視鏡が上手い」という噂のある先生を探して受診するのが、苦痛を最小限にする良い方法といえるでしょう。私の主治医の大腸カメラを苦痛なく入れる謎技術を持つ医師は、実は全国的にいらっしゃるようですので、今後カメラを受けられる方はそういう医師を探すといいと思います。

 

検査結果についての苦しみは、検査中に先生が何か発見しないか、本当にドキドキするようなものです。私の今回の結果は、がん化するポリープが消えてなくなっていたというものでしたので、今回は絶望することが無くて良かったです。

 

以上より、大腸カメラは苦しいと言われますが、検査前の食事制限と2Lの下剤を飲む苦しみは、気の持ち方で苦しく感じたり、なんとも思わなかったりするかなと思います。検査中の苦しみは「うまい医師」にかかることで確実に苦痛を減らすことが出来、本当にうまい先生ですと苦痛はゼロです。私の様に癒着した腸であってもです。

 

以上、何か参考になれば幸いです。

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ねこ検定上級受験します!

ねこ検定なるものがあるのをご存じでしょうか?

www.kentei-uketsuke.com

2021年くらいに受験したことがありますこちら、猫の知識を問うもので、初級、中級、上級と難易度がわかれています。とてもありがたいことに、自宅のパソコンで受験できます。受験料もネットで払い、何の手間も要りません。

初めての受験では初級・中級を選びました。私は生粋の猫好きであり、猫の事なら何でも知りたい人です。そんなわたしですので、60分ある試験をほぼ10分で終らせました。私のADHDが暴走しました(笑)

 

おかげさまでケアレスミス多発して、中級は落ちてしまいました。ケアレスミスさえなければー!と悔しいですが、それも含めて自分の実力です。結果をしっかり受け止めて今後も猫について学びます。

 

そういう経緯もあって、今度は中級・上級にチャレンジすることにしました。受験勉強は12月から始めており、はかどってはないものの、とにかく猫に関する知識を、公式テキストに沿って脳内に詰め込むという作業中です。

 

私は執筆活動での収益を、実績ある動物保護団体に寄付するという保護猫活動を行っている「愛猫法人にゃん・にゃ・にゃん」の代表です!沽券にかけて絶対上級をゲットしようと思います!

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ねこ検定公式HPより

 

「すずめの戸締まり」祝アニー賞ノミネート!結果予想

新海監督の映画はすべて見ており、「すずめの戸締まり」に至っては20回ほど見たファンとして、先日この映画がアニー賞にノミネートされたというニュースは本当に嬉しかったです。ぜひとも受賞してほしいのですが、新海監督の素晴らしさゆえに受賞の雲行きが怪しく感じています。

今日は、「すずめの戸締まり」がアニー賞受賞なるかを考察・予想します。また、良く対比されるジブリの「君たちはどう生きるか」についてもすこし考察します。

「すずめの戸締まり」映画は非常に価値の高い映画であるにもかかわらず、他の新海映画に比べると受賞数が少なく感じます。様々な側面から考えて結論から言うと、アニー賞では1,2部門で受賞するか、受賞はむずかしいか、というのが予想です。なぜこのような辛辣な予想になるのか?それは私がこの映画の真価に触れることが出来たからこそなのかもしれません。

理由は主に2つです。皮肉なことにいずれも新海誠氏という映画監督としても人間としても素晴らしいとするゆえんが、受賞を遠ざけるのではないかと考えています。ひとつは新海監督が「日本の災害をテーマとする」という使命感を貫いたからです。もうひとつは「国民が見たいものをつくる」という観客からの視座を一貫して守り抜いたことです。

まずは、ひとつ目の新海監督が「日本の災害をテーマとする」という使命感を貫いたことについての考察です。東日本大震災を映画のテーマにした監督の思いやその偉業、それゆえに得られなかった賞について述べます。

この映画の真の価値は3.11を題材にしたところにあります。日本人にとって甚大でショッキングな東日本大震災。大切な人を亡くしたり、大切な家屋、仕事場を失った被災者の方は、それを昨日の事のように思い出すかもしれません。

しかし、直接被災していない人のなかでは、10年前の震災の記憶は徐々に薄れています。震災直後、日本はCM、エンタメ、祝賀行事などの物事を慎んで、被災者に思いを寄せていました。しかし、今もそうしている人はそうそういないでしょう。震災を知らない若者もいます。今の日本は、忘れてはならない記憶が薄れていっている、そんな時代に入っています。

だからこそ新海監督は「すずめの戸締まり」は利用者が最も多いと思われるエンターテイメントという枠の中に、東日本大震災を織り込んだのでしょう。確かに、震災はエンタメの題材にする事はふさわしくないという意見もあります。しかし、メンタメという多くの人が触れるコンテンツにそれを含めたことこそ、「すずめの戸締まり」を単なるエンタメを超えた価値に繋がっているのです。

それはどういうことかといえば、「例えば、震災を忘れないために、ドキュメンタリー番組を作ったり書籍を販売したりしても、多くの人に届くメディアにはならないでしょう。しかし、エンタメなら多くの人が鑑賞します。人口密度の高いエンタメに「震災を忘れないで」というメッセージを込めたことで、映画を鑑賞した多くの人は東日本大震災の被災者について、多かれ少なかれ思いを寄せたでしょう。その功績こそエンターテイメントを超えた価値なのです。

新海監督は、東日本大震災の被災者にずっと思いを寄せてきています。『君の名は』や『天気の子』は災害をテーマに持っていますが、監督は震災の記憶がベースにあったと、インタビューで仰っています。そして『すずめの戸締まり』はダイレクトに東日本大震災をテーマにしています。映画で震災を扱うという事は、新海監督のアーティストとしての「責任感」であったのかもしれません。

というのも2021年~2023年の間、新海監督の新作映画は多くの人に期待されていました。コロナ禍で日本が精神的にも財政的にも疲弊している時、映画界を中心に「すずめの戸締まり」は大ヒットすることを期待されていました。つまり売り上げの立つ映画を作ることが監督には求められていたのです。

そんな情勢の中で、東日本大震災をテーマに映画を作るという決断はかなりリスクの大きいものだったはずです。このような繊細なテーマを映画の土台にすることは、下手をすれば批判されて売り上げも立たず、新海監督の地位すら危ぶまれる事態を引き起こす可能性が高いからです。

それに震災よりも、興行収入や世間からの評価が高くなるテーマはいくらでもあったはずです。であるにもかかわらず、監督は「東日本大震災」に対する思いを貫いたのです。ここに新海監督のアーティストとしての「使命感」を感じずにはいられないわけです。

しかし、それは映画の社会的な評価である「賞」のを取り逃したことにつながったのではないかと思います。震災というセンシティブなテーマを織り込んだ映画であるが故に「賞」という形での評価をしにくかったのではないかという事です。さらに言えば、世界中の視聴者ではなく、日本の視聴者目線で映画を作ったため、諸外国の賞を獲得しにくかったのだと考えます。震災を知っていて、震災被害を悼む日本人の気持ちに働きかけることが前提の「すずめの戸締まり」は、諸外国の賞の審査基準から外れた可能性があります。

もう一つの「賞を取り逃す可能性」となる原因に「国民が見たいものをつくる」という観客からの視座を一貫して守り抜いたことについて述べます。

新海監督は「自分の作りたいように作りたい」というアーティスティックな気持ちを抑えて「国民が見たいものを作らねば」という卓越したサービス精神を優先したと考えられます。インタビューをいくつか拝見すると、映画を国民が見たいものに仕上げるため、新海監督の持つ独特の創作能力を抑えなければならなかったことも多かったように感じます。

国民というのは何千万人もいるものです。新海監督はそれらの期待に添うために、分かりやすく面白い映画構成を行ったように思います。それは、なんといってもこの映画の分かりやすさに現れています。その為には一般的に理解されにくい、専門的な独創性や前衛性を捨てざるを得なかったのだと思われます。

様々な賞の誉れを受けた作品は、必ずしもベストセラーになったり大衆に受け入れられたりするものではありません。大衆性を優先すれば専門性は失われるからです。極端な話をすれば、日本三大随筆の一つ『徒然草』は文学の頂点を担っていますが、今ベストセラーかというとそうではありません。古典として価値が高くても専門性が高く大衆性が現代では失われているわけです。

このように、新海監督のサービス精神ともいえる「国民が見たいと思うものを作る」ために、新海監督の独創性や専門性が失われたがために、崇高な賞を取り逃してきたのではないかと思います。

以上の様に、新海監督の「日本の災害をテーマにする」という使命感と、「国民の見たいものを作る」というサービス精神の二つが、「すずめの戸締まり」が本当に持つ価値をマスクしてしまい、これまでいくつかの賞を取り逃したのではないかと思います。

アニー賞の発表には私も期待をしていますし、賞をとればファンとしてこれほどうれしい事はありません。私が今回辛辣に予想したのは、新海監督の「東日本大震災の被害を悼む気持ち」と「国民の見たいものを作る」という崇高な思いに対する敬意ゆえなのです。受賞をしようがしまいが、映画の価値が損なわれるものではないのです。「すずめの戸締まり」が素晴らしい作品であることに変わりはありません。

最後にジブリの作品もノミネートされている件について述べようと思います。ジブリの最新作は発表後から様々な賞にノミネートされ、受賞されています。ジブリのすばらしさは私も認めるところです。ただ、この2者を比較するのは土場が違うと思うのですね。新海監督の様に「日本に対する使命感」や「サービス精神」の縛りを受けて作られた作品が、そうでない映画と比較するのは、サッカーと野球のどっちが優れているか?といった意味のない比較になると思います。ジブリが新海監督の様な「縛り」なく作品を作ったなら、受賞という点だけを見たとき、ジブリに軍配が上がるでしょう。『君たちはどう生きるか』はアニー賞受賞は確実でしょう。

私は新海監督の映画も人柄も大好きです。素晴らしい映画『すずめの戸締まり』を、私はこれからも定期的に見ると思います。それは新海監督の「使命感」と「サービス精神」が私の心にうまくはまり込んだからです。監督のメッセージをしっかり受け止めて私も震災の被害に対して思いを寄せることが出来ました。新海監督には、次は「自由」に映画を作って頂きたいなと思います。

 

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すずめの戸締まり公式HPより

 

ブラックフライデー・24日まで【半額】

いつもご覧いただきありがとうございます。

 

さて、昨今の物価高と増税をかんがみて、ブラックフライデーをすることに決まりました。11月24日まで著書※1が半額になります(99円のものを除く)。

売上は全額、保護猫団体(三重県)に寄付しております。その団体は、野良犬・野良猫だけを利益度外視で診ている素晴らしい獣医師を中心とした団体です。これから寒い冬を迎える世の中の野良ちゃんが1匹でも暖かい冬を過ごせるよう、どうぞご購入いただければと存じます。なお、今年度の寄付金総額は¥25082円です。

 

※1.読むためにはKindleアプリ(無料)のダウンロードが必要です。

 

売れ行きランキング

1.『75分で強迫性障害が治った奇跡』

2.『うつマニュアル』

3.『飲んだらどうなる?精神科のお薬ガイドブック~抗精神病薬ADHDの薬~』

です。

 

『75分で強迫性障害が治った奇跡』は、

私が精神科看護師をしていた時の経験談です。ある強迫性障害の患者さんに75分程度カウンセリングをした結果、治ってしまいました。この本には、私がその患者さんに言ったことをすべて書いてあります。50ページ程度で¥260⇒¥130にディスカウント。

 

『うつマニュアル』は、

うつ病に苦しみ、一方でうつ病の人を救ってきた経験から生まれた本です。とても苦しい『うつ』から『逃れる方法』を沢山のせてあります。ちょっと気分が落ち込んだ状態の乗り越え方から、もう命を絶ってしまいたいという危険な状態の対処まで、幅広く対応した1冊。そのボリュームは118ページと、私の著書の中で最高のコストパフォーマンスを誇ります。今回半額の¥130にディスカウントします。

 

『飲んだらどうなる?精神科のお薬ガイドブック~抗精神病薬ADHDの薬~』は、

リスペリドン、クエチアピン、オランザピンなどだけでなく、ADHDの薬であるメチルフェニデート徐放錠やアトモキセチンを飲んだ感想を、患者さんの話や実体験をもとに書いています。薬効だけでなく味など、飲んだことのある人にしか分からない情報が載っているのが、他の薬辞典と違うところ。こちらもお安くディスカウントしています。

 

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