こころの安らぎ文庫

元精神科ナースらが立ち上げる電子書籍のレーベル。恵まれない犬猫の為に、売上の全額を犬猫愛護団体(保護実績250頭/年:三重)に寄付しています。

すずめの戸締まり~描かれていないところに隠されたメッセージ~

金曜ロードショーですずめの戸締まりが放送されました。すずめの戸締まりを見るのはこれで21回目で、何度見ても退屈しない、感動できる素晴らしい映画だと、改めて思いました。

 

この映画の批評は前にしているのですが、もう一度批評してみたくなりました。

 

この映画に対する批判に多いのが、冒頭で鈴芽が草太と出会ったというシーンから来ているものですよね。あのシーンでは、鈴芽は草太からインスピレーションを受け、心は動かされます。そして、椅子に変えられた草太を元の体に戻すために、鈴芽は命を懸けて冒険します。でも、一目惚れしただけで命を懸けた冒険が出来るのか?というものです。

確かにこれがラブストーリーなら、鈴芽の冒険の動機は弱いと思いますが、この映画は「ラブ」ストーリーではないんでしょうね。どちらかというと、純粋な「心と心のつながり」を描いていると考えられます。

それはなぜかというと、ラブストーリーだったとしたら描かれているべきものが描かれていないからです。この、描かれていないところにこそ、メッセージがつまっているように思います。

しかるべきところというのは、最後のシーン、草太の姿が元に戻り、鈴芽は草太に腕枕されるような形で倒れているところです。ここが大事で、ラブストーリーなら鈴芽が「元の姿に戻って良かった」という描写がどこかにあるはずです。ところが、鈴芽は命を懸けて草太を元に戻して、その姿を見るや否や、その奥に倒れているダイジンを介抱しに行きます。よくよく見ると分かるのですが、命を懸けて手に入れたかった元の姿の草太を見てノーコメント、何なら無視してるんですよね。そんなことよりダイジンを、となっているんです。そして映画の終わりまで、「元の姿に戻って良かった」というシーンはありません。

「元に戻って良かった」というシーンがないことで、私はこの映画から「心のつながりがあれば、実はその姿が人であろうと、動物であろうと、物であろうとどうだっていいんだ」というメッセージを受け取りました。

話は変わりますが、昨今、ペットを家族の一員として認識する方向性が強まっています。以前は、もしペットを殺された場合、民事裁判を起こすと加害者に請求できる額は、ペットの時価総額か購入代金ほどだけでした。しかし今では、ペットも家族の一員という事が認められつつあって、ペットを失っても家族を失った精神的苦痛に対する賠償命令が出るように、徐々になってきています。

このことは、私がすずめの戸締まりから受けたメッセージと同じです。たとえ姿が犬や猫であっても、心のつながりさえしっかりあれば、犬も猫も家族になれます。私は保護猫家として活動していますが、「ペット=家族」という世界が早く訪れるといいなと思います。

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